Sakana Chat (Namazu) を試してみた

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AILLMSakana AI日本語AIチャットbot

はじめに

2026年3月24〜25日、日本のAIスタートアップ Sakana AI が日本語特化LLM「Namazu(ナマズ)」のα版を組み込んだチャットサービス「Sakana Chat」を公開しました。

注目ポイントはいくつかあります。まずアカウント登録が不要で、今すぐ無料で試せること。そして「大阪🐙」という個性的な回答モードが選べること。さらにこれまで問題視されていた政治・歴史・外交テーマへの回答拒否率が72%から約0%に大幅改善されたこと——日本語AIの文脈で久しぶりに話題になったリリースです。

本記事では実際に触ってみた感想をまとめます。

Sakana Chatとは

Sakana AIは、元GoogleディープマインドのLlion Jones氏らが2023年に東京で創業したスタートアップです。「自然界から着想を得たAI研究」を掲げ、モデルのマージや進化的アーキテクチャ探索など独自のアプローチで知られています。

今回リリースされた Namazu は、Sakana AIが開発した日本特化の大規模言語モデルです。

項目内容
モデル名Namazu(α版)
公開日2026年3月24〜25日
料金無料(アカウント不要)
回答モード標準 / 丁寧 / 大阪🐙
Web検索対応
政治・外交テーマ回答拒否率 72% → 約0% に改善
開発元Sakana AI(東京)

「α版」という位置づけなので、今後の変更や制限変更がある可能性はあります。現時点ではブラウザから即座に試せる手軽さが魅力です。

使い方

アクセスは Sakana AI 公式サイトから「Sakana Chat」のリンクを辿ります。サインアップ不要で、ページを開いたらすぐにチャット画面が使えます。

UIはシンプルで、画面上部に回答モードの切り替えボタンがあります。

  • 標準: 通常の日本語回答
  • 丁寧: より丁寧な敬語・説明的な回答
  • 大阪🐙: 関西弁ベースのカジュアルな口調

Web検索のオン/オフもトグルで切り替え可能です。

実際に試してみた

いくつかの質問を投げてみました。

回答モードの違い

同じ質問「量子コンピュータをわかりやすく説明して」を3つのモードで試した結果です。

モード回答の印象
標準簡潔で情報密度が高い。箇条書きをうまく使った回答
丁寧背景から丁寧に説明。初心者向けの補足が多い
大阪🐙「量子コンピュータいうたら、ふつうのコンピュータとは全然ちゃいますねん」という出だしで思わず笑った

大阪モードは最初はネタっぽく見えますが、説明の正確さは落ちません。むしろ難しい概念を砕けた言葉で説明してくれるので、理解しやすい場面もありました。

Web検索機能

「2026年3月の最新AIニュースを教えて」と聞くと、Web検索をオンにしていれば実際に検索した結果を引用しながら回答してくれます。

ソースのURLが回答に表示され、どの情報を参照したかが確認できます。精度はChatGPTのSearch機能と比べると若干落ちる印象でしたが、α版としては十分な品質でした。

政治・外交テーマへの回答

過去のNamazuはこの領域で回答を拒否することが多かったそうです。今回改善されたとのことで、いくつか試してみました。

  • 「日本の防衛費増額について賛否を説明して」 → 賛成・反対両方の論点を中立的にまとめてくれた。一方的な主張にはなっていない。

  • 「尖閣諸島問題の経緯を教えて」 → 歴史的経緯と各国の主張を整理して回答。回答拒否はなかった。

  • 「日米同盟の今後について」 → 現状の課題と展望を分析的に説明。こちらも拒否なし。

日本語AIとしてこの領域をカバーできているのは実用上の大きな改善です。ただし、あくまでα版であり、今後のポリシー変更には注意が必要です。

他AIサービスとの比較

比較のために、ChatGPT(GPT-5.4)とClaudeとの簡単な比較表を作りました。

比較項目Sakana Chat (Namazu)ChatGPT (GPT-5.4)Claude (Sonnet 4.6)
無料利用無料・アカウント不要無料(制限あり)無料(制限あり)
日本語特化はいいいえ(多言語)いいえ(多言語)
Web検索対応対応一部対応
回答モード3種類(大阪🐙含む)なしなし
API提供現時点で未確認ありあり
開発元日本(Sakana AI)米国(OpenAI)米国(Anthropic)

Namazuの強みは「日本語に特化して設計されている」点です。微妙なニュアンスや日本の文化・制度に関する質問では、グローバルモデルより自然な回答が返ってくることがありました。

2026年3月のAI動向(補足)

Sakana Chatのリリースがあった3月末前後、AI業界では他にも注目のニュースがありました。

  • MCP 9,700万インストール突破(3月25日): Anthropicが開発したModel Context Protocol(MCP)の累計インストールが急増。AIエージェント連携の事実上の標準になりつつある
  • Claudeメモリ機能が無料ユーザーに開放(3月2日): 以前はProユーザー限定だったメモリ機能が全ユーザーに展開。ChatGPTやGeminiからのメモリインポートも可能になった
  • Gemini Veo 3.1 Lite(3月30〜31日): Googleが低コストな動画生成APIを公開。Veo 3.1 Fast比で半額程度のコストで720p/1080p動画を生成できる

日本発のAIサービスがグローバルな動向と並んで注目されるようになってきたのは、良い兆候だと感じます。

まとめ

Sakana Chat (Namazu) を触ってみた感想をまとめます。

良かった点

  1. アカウント不要で即試せる — とにかく敷居が低い
  2. 大阪🐙モードの完成度 — 笑えるのに説明の精度が落ちない
  3. 政治・外交テーマへの対応改善 — 日本語AIとして実用性が上がった
  4. Web検索連携 — 最新情報も拾える

気になった点

  • α版のため、仕様変更や機能制限が今後起こりうる
  • API提供の情報が現時点では見当たらない(プロダクト組み込みには課題)
  • GPT-5.4やClaude Sonnet 4.6と比べると、長文の論理構成では差を感じる場面も

Sakana AIは「日本発のAI」というポジションを明確に打ち出しています。日本語の自然さや文化的背景の理解という観点で、今後のアップデートに期待したいサービスです。まず一度、アカウント登録なしで試してみてください。

参考資料